
先月(3月)はライブは少なく、少しお休みができるかなと思いきや、毎日色々と雑用の連続。と言っても意味のない雑用ではなく、いろいろとうれしい日がいくつもありました。色々な方との親交を深める時間というのは貴重なものですね。
誕生日を祝いに・・自分のではないですよ・・。天に送った義父の記念会で親戚の方々と。老人ホームの母と。義父の命日には家族との時間。それから信仰の話ができる交わりふたつ。そして演奏グループのメンバーとの個人的な交わりふたつと秋の芝居の準備での交わり。車椅子からベッドに移動するのがやっとの母を花見に連れて行きたい・・この願いが3月中に実現すればもう一つ増えるかな。
その中のひとつ。ピアニストのウォン・ウィン・ツァンのお宅訪問。彼とは1999年からピアノトリオ「WIM/ウォンpf、森泰人bass、市原ds」を始めて2003年で中断。それが昨年から我がTRIO’のツアーの合間にぽつぽつと活動が始まった。両者ともベーシストが森泰人というスウェーデンの人だからどうしてもこうなってしまう。ウォン宅訪問の目的は、昨年の秋に収録したNHK・FMのセッション2013と、玉川KIWAでのライブの音を共に聴き、語り合うという時間を持つため。こういうことをしようとするミュージシャンって、あまりいないんですよね。考えてみればやるのが当たり前で、どちらかというとやらなければいけないことなのだと思うのですが、なぜかそういう機会が少なくとも私に関して言えばほとんどないんですね。TRIO’でも改めてそんな時間を持ったことはないように思う。なぜかなと考えたのですが、TRIO’の場合はどんどん変化しているから・・かも知れません。
先日のウォンとの時間・・実は僕は彼を「江夏」と呼んでいる。小学校では隣のクラスだし、スタジオミュージシャンだったころは彼は江夏健二だった・・まあ、それはどうでも良いけど。彼との時間は貴重なひとときになりました。演奏家というのは合奏をして互いに何を感じるか・・。そこのところで本当に正直な発言をしていたらかなりの確率で喧嘩になりますね。それは演奏でなくとも相手に対して感じていることを全部言ったら、かなりの確率で友達を失うでしょう。だって、人は相手の悪いところの方が気になるものだから。だから本能的にミュージシャンもそういう接触を避けるのかも知れないですね。
ウォンはそういったリスクを承知で僕との時間を持とうとしたんです。一緒にやる人間同志でわからないことがあったらそれを解明しようとする。言いにくいことを言わなければならないということを承知でその時間を作る。それは「その先に行きたい」という真摯な姿勢から来るものだと思います。
リズムについて・・。この課題というのはミュージシャンにとって永遠であるけれども率直に話をするということがなかなかない。しかも正解がない・・というか、誰もそれを公に提示していない。それは当たり前で、音で提示すればそれで良いのであって、その音に理屈を付ける必要もない。そしてそれはミュージシャンが守っている最も奥の秘密の部分でもある。
演奏のタイム、ノリがうまく行かないとき、,そこにはいろいろな原因というか要素がある。それを客観的に見ることはかなり難しいですね。人間は自分が不快だったら、大体相手のせいにします。そのままの状態が続くとグループは多くの場合解散ということになります。この部分について話ができるというのは幸いな関係だと言えますね。しかし作業としては難しいです。この日の「会談」はうれしい結果に終わりました。良い関係が生まれる基本的な状況についての認識が互いに同じだということが最終的に確認出来たから・・。言い換えますと、10年ぶりに一緒に演奏をしてそれがわからなかったという現実があったわけです。話をしているうちに過去の記憶がじゃまをしていることが見えてきたりしました。10年以上も経っているのだからお互い少しは変わっているはずなので、過去の記憶など消し去ってまっさらな状態で「今」を生きればいいのに。それが如何に難しいかということですね。それをこうして改めて時間を取ることによって克服・・できたのかどうかは今後にわかるのだろうけど・・する方向に行けたということはとてもうれしいことでした。
これを読んでおられる方は、我らが確認した「リズムに関して良い状態が生まれる基本的な状況」とは一体どういうことなのか、そこが聞きたいのかも知れませんが、それは言わないことにします。なぜって、今までこれが基本だと思っていたことがどんどん変わってきていて、今だってその途中かも知れないから・・。それと、まあ当たり前のことだから。・・とか言って終わりにします。
さて、四月のライブは三月より少し多いです。(笑) 2日(火)には久しぶり、大久保明セッション/bassに伊藤昌明・・スタジオミュージシャンがなぜか集まってくる。自由が丘マルディグラです。それから5日(金)には金城寛文5/菊川な〜じゅ。おじさん度120%の楽しいバンドです。そして6日(土)は塚山エリコ/orgカルテット。ギターに伊丹雅博。ベースには初共演の中林薫平君です。調布「さくらんぼ」。ここまではこぢんまりしたライブ空間。ナマを味わいたい向きにはお奨めです。16日(火)はまったく別世界となります。「歌声ペトラ」。賛美歌を歌う集まりですが、キリスト教界では余り見られないスタイルかと。ユーチューブで確認出来ますのでご覧ください。お茶の水OCC、アイリーンホールです。そして19日(金)は前田憲男ウインドブレーカーズ/銀座スウィング。珍しく金曜日ですので、ご予約はお早めに。
4月も皆様のお越しをお待ちしています。
詳細はホームページ http://i-produce.net 「ライブ」をご覧ください。
写真は急に花々が咲き始めた3月18日。我が家から唐木田へ歩く道にて。

三月のライブ情報、三月は全くのお休み・・とか言って告知したのですが、何と、髪の毛逆立ち。3/7(木)にライブが入っていたことが判明。ああ、こわっ。LEZARDのママの誕生日だから祝いに駆けつけようかな・・とか思っていたのが・・。本当に危ないところでした。赤坂B♭。林研一郎/Unit 9 Jazz Ensemble。そして、演奏ではありませんが、19日(火)、歌声ペトラとなっています。お詫びして訂正させていただきます。
皆様のお越しをお待ちしています。
詳細はホームページ http://i-produce.net 「ライブ」をご覧ください。

2月の25日(月)に代官山/LEZARDにて初めてのライブ(島健/pf、コモブチキイチロウ/bass、市原康ds)をやりました。一体どれだけのお客様が来てくださるかとても心配でしたが、お陰様で満杯のお客様に来ていただきました。ありがとうございました。
島健は私達が20代の頃からの仲で、同じ年生まれなのに学年が違うから、彼は僕のことを「市原さん」と呼ぶんです。彼は1978年に渡米。8年ほど米国で活動。ホセ・フェリシアーノの南北米ツアーに参加したり、ずらりと並ぶ共演者の中にトニー・ウィリアムスの名があるなど、良い体験をしてきたんだなあと羨ましくなります。帰国後の彼はサザンオールスターズ他数え上げたらきりがない多くのアーティスト達の作・編曲・プロデュースなど、そして奥様の島田歌穂さんとの活動で今もかなり忙しい。そんな彼に声を掛けてみてのライブが実現。結果によってはこれが続くか続かないか・・どうなるかなと思っていたのですが、とても良い感触で、三人ともまたやろうという空気になっています。ベースのコモブチキイチロウは渡辺貞夫さんのグループなどで活動中。一時はウッドベースをあきらめようかと思っていた・・と言うんですが、とてもとてもそんな風には思えない、素晴らしいベーシスト。以前に菊池ひみこさんのトリオで共演したことがあるのですが、今回はっきりと私のつたない頭にも刻み込まれました。このトリオ、続けていきましょうということになっていますが、名前は決まっていません。以前に「トリオ・ザ・名称未設定」などと申しておりましたが、もう少しマシな名前でと思っております。次回は6月くらいかな。どうぞ覚えて応援ください。
先日のこのライブに何と福田重男が登場しまして、後半にはセッションに加わってもらったりしたのですが、まったくタイプの違うピアニスト。しかも皆本当に素晴らしいと、演奏しながら思わされました。こういうプレーヤーたちが近くにいてくれることは本当に幸せなことです。その福田重男がピアノを担当する私の本家と言いますか「TRIO’」はベースの森泰人が来日できないので一年間お休みの予定。
さて、三月のライブは・・と言いたいところですが、三月は全くのお休みになります。これが望んでのお休みではないというのが不安材料ですが(笑)、そういうときにはやるべきことがちゃんとあるものですね。何とも不思議な一ヶ月・・あるいは二ヶ月になるかもしません。人生の後半ですから忙しければ良いと言うものではない。何をやれば死ねるのか・・でしょうか、やはり。
取りあえずプレーヤーとしては、仕事をいただくのを待っている人間ではなくなっていますので、仕事を作っていく人にならねばと思っています。先のトリオもそうですが、他にもいろいろな出会いが今でもあります。そのなかで仕事のための仕事ではなく、また音楽のための音楽でもなく、もっぱら人との交わりのための音楽その他の活動の場を作って行きたいと願っています。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
3月・・皆様のお越しをお待ちしているのは,19日(火)、歌声ペトラのみ。
詳細はホームページ http://i-produce.net 「ライブ」をご覧ください。