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ドラマー市原康のなんじゃもんじゃ

ライブのご案内/キリスト教談義を中心にお届けしています
      100702ドラムセット


 時々だけど、スタジオでやりたいことができて、それがエンジニアの研修でもある・・っていうのがある。先日もキングのスタジオでそれをやった。私たちは8月5日(木)、大塚/Welcome backでやる3ギター/直居隆雄、萩谷清、大久保明のライブのリハーサルを兼ねて録音もしちゃうというメリット付き・・。
 三人のエンジニアが2-3曲ということで7曲録音をした。三人は私が現場でお世話になっているようなベテランと、現在スタジオで色々やっておられるのだろうなと思われる中堅・・かな。そしてアシスタントをやっている若手。それぞれ自分の音を作って録音をする。最初は中堅のエンジニアが二曲。彼はポップス、あるいは歌謡曲、演歌などが中心なのだろうか。ジャズとなるとサウンドのイメージがないのかも知れない。ドラムの音もこれが普段のレコーディングでの音創りなんだろうなと思うが、シンバルが遠くにいてスネアをしっかり出す・・、そんな音になっているからジャズとしてのおもしろみが全くない。ジャズのドラムはスネアとキックでリズムを出してるんじゃなくてパーツを駆使して全体でものを語ろうとしている。ジャズって言うのはプレーヤー同士の関係がはっきり聞こえるときにこそおもしろさが目の前に広がり、単なる音だけの世界ではなくて想念の世界にまで入り込んでくるものだと思うんです。私など、若い頃擦り切れるほど聴き込んだアルバムというのは大抵そういうアルバムでした。ドラマーで言えば、ジャック・ディ・ジョネット、トニー・ウイリアムス、エルビン・ジョーンズ・・。彼らがスタープレーヤーと言うこともあるが、間違いなくドラムはしっかり聞こえ、全体との関係が見えるアルバムばかり。そういう音を聴いて育っているせいか、今時の録音の音には満足するようなものに出会ったことがない。そのエンジニア氏に「ジャズのドラムはライドシンバルがメインで、スネアというのはオカズと言われている通り、扱いとしてはメインの次なんだ。」とそんなことを話した。そうしたらバランスは変わったが、まだシンバルがきれいすぎる。もっと下品でいいんだよねと・・ちょっと過激な言い方かも知れないが私の感想を申し上げた。
 次にやったベテランエンジニア氏はさすがに全体の音のバランスも良い。音の関係も分かる。ブラシをやっていてもはっきりフレーズが聞こえるくらいに、普通のレコーディングだったら決してやらないくらいのバランスで出している。ギタリストにしたらちょっと大きいんじゃないのと言うくらいだが僕的にはOK。こうでなければおもしろくない。特にそれをやっているドラマーとしては、背後で蚊が飛んでいるような音に作ってくれたってうれしくも何ともない。関係がはっきり聞こえる、それは音楽をより面白く表現する一番簡単な方法ですよ。このエンジニア氏、三人のギタリストの音の違いも適切に表現していたと思う。
 そして三人目のアシスタントエンジニア氏。ヘッドホンで聴くと一人のギターが異常に大きい。兎に角バランスというものが見えてこない。そのギタリストはしょうがないから自分のアンプのボリュームを調整しながらやっていた。こちらはリハーサルなので、余り音に構っていられないということもあり、こちらでバランスを変えてしまう・・。音色もよくわからない上に音が大きいという、演奏者にはとてもやりにくい状況。後でプレイバックを聴く。彼は20代だと思う。簡単に言えば「品」という類のにおいがない。思想がないとも言える。ドラムのキックの音はロックみたいに大きい。ジャズのドラムはロックのようにリズムパターンとして叩くよりも、いろいろなフレーズに伴って叩くことの方が多い。だからロックのようにバランスが大きいと、キックを叩いたときだけドカンと聞こえて、そうでないときには何もない。要するにリズムパターンではないから不定期にドカーンという音が登場する。そのたびに流れが止まる・・そういう感じ。それを説明したら、納得はしていた様子。それにしてもやはりバランスが取れた感覚とポリシィーのというようなものって経験を積まなければだめなのだろうか。いや、人というのはこういうのが良い・・という感覚さえあれば自然にそれをするんじゃないだろうかと僕は思っている。
 たいていの場合、、。僕の想像だけれど、「こうでなければいけない」といった類の、感覚で処理する前に立ちはだかる「教えられたこと」というのがあって、それがその人の自然な感性が解放されるのをすごく妨げているんじゃないか・・そんな気がする。エンジニアの学びの世界のことは全く知らないが、ドラムの学びの世界のことを思って、、どこでも同じような事ってあるんじゃないかと、、そんなことを思う。つい最近、ツイッターでつぶやいたことがある。それはドラムを教えるのに初心者は面白い・・ということ。やることをひとつひとつ教え、一緒に叩いて感覚を覚えさせるだけで、リズムのノリやアンサンブルのことなどは一言も言わない。そうすると、特に女性に多いが、、どか~んとした、重たい/良い意味/リズムを平気な顔をして叩く。また、とても不器用と思われる人でもすごく小気味のいいところを叩いたりする。まさにヘタウマの極致みたいなもので、こういうところを僕もやりたいんだけどなあ・・みたいなことをやる。
 知識、それは必要ではあるけれど、もともと人の感性が全開で働くために必要な事って、それほどはないのかも知れない。教える者が自分の経験とか感覚を教える・・そこには大変な落とし穴があるかも知れない。単純にやっていることをそのままやらせ、そこにはこういう事がある・・というようなことは言わないようにしなければならない・・のではないかと、最近思うようになってきた。
 自分は教える側としてその大きな過ちをずいぶんやってきたんじゃないだろうか。今になってだけど、面白い人材を育てたいという思い、、湧いてきている。教える者として働くなら、感性を全開にする若い人を世に送り出したい。

 写真は私のドラムセット 撮影:平田一八 ドラム製作:石田洋一郎


 
2010.07.04.Sun 00:04 | 音楽 | trackback(0) | comment(6)
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ドラマー市原康です。
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